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縁側日記

収納は多けりゃいいってもんじゃない。新築で本当に後悔する収納の話をします

収納は多けりゃいいってもんじゃない。新築で本当に後悔する収納の話をします

株式会社建築日和
代表・保坂正彦

収納は多けりゃいいってもんじゃない。新築で本当に後悔する収納の話をします

いよいよ春を感じる季節になりました。
こんにちは、株式会社 建築日和代表の保坂です。

前回はコンセントの話でしたが、今回も「新築住宅お困りごとシリーズ」です。

「収納のことで……ちょっと」というご連絡。

これが多いんです。
きっと口に出しては言いませんが「もっとこうすればよかった!」と心の中で思っている施主様は多いはずです。

事実、国土交通省が住宅満足度について調べた調査でも、不満の理由として「収納の多さや使い勝手」を挙げた人は全体の33.1%。つまり3人に1人が、住んでから収納に何かしらの不満を感じているという話です。

3人に1人が、住んでから収納に何かしらの不満を感じているという話

でも現場で話を聞いていると、後悔の中身は意外と「量」ではないんです。「足りなかった」だけじゃなく「多すぎて無駄になった」もある。もっと言うと、広い収納をつくったのに、いざ住んでみたら使いにくくてもてあましている、というケースが一番多い気がしています。

今回は、大工として現場で見てきた「収納の後悔あるある」と、そうならないための考え方を正直に書きます。

「収納は多いほどいい」という思い込みが、最初の落とし穴

打ち合わせのとき、収納の話になると「とにかく多めにしてほしい」とおっしゃる方は少なくありません。気持ちはよくわかります。今の家で物があふれて困っているから、新しい家では絶対に収納を増やしたいと思うのは自然なことです。

ただ、ここで一度立ち止まってほしいんです。

収納スペースを増やすということは、その分だけ居室スペースが削られるということです。「物置のために家を建てているわけじゃない」という当たり前の話ですが、間取り図を眺めているとこれが意外と見えなくなってくる。図面上では「収納が充実している間取り」に見えても、住んでみると「なんかリビングが狭いな」「廊下がきつい」という感覚になることがあります。

「収納は多いほどいい」という思い込みが、最初の落とし穴

もうひとつ、収納を増やしすぎることで起きる問題があります。

「しまう場所がある」から、捨てるべきものまで取っておくようになる。新居に引越して1年もたつと、「なんでこんなものが……」というものが収納の奥に詰まっている、というのはよくある話です。収納は「整理された暮らし」をつくるための道具であって、物を捨てない理由にしてはいけない。これは私がいつも思っていることです。

収納は「整理された暮らし」をつくるための道具であって、物を捨てない理由にしてはいけない。

収納計画で後悔しないためには「量を増やすこと」ではなく、「使う場所の近くに、使う量だけ置ける収納をつくること」が本質です。ここからが本題です。

現場で見てきた「収納の後悔」リアル5パターン

実際に住んでから「こうすればよかった」と言われたケースを、できるだけ具体的に書きます。どれかひとつでも「あ、うちもそうなりそう」と感じたら、設計段階で相談してもらえると助かります。

「棚のない大収納」─広いのに使えない

これが一番多い後悔かもしれません。ウォークインクローゼットや納戸を広くとってもらったはいいものの、棚やパイプハンガーの設置まで考えていなかったために、荷物をただ積み上げるだけのスペースになってしまう。

「棚のない大収納」─広いのに使えない

広い空間に荷物を積み上げていくと、最初はどこに何があるかわかるのですが、3〜4ヶ月もすると迷路のようになります。奥のものを取り出すには手前の荷物を全部動かさないといけない。こうなると、その収納は「使える収納」ではなく「物を押し込む部屋」になってしまいます。

「棚のない大収納」─広いのに使えない

広さだけ確保して中の設計を後回しにした結果です。収納の中に棚を何段入れるか、ハンガーパイプの高さはどうするか、このあたりは設計段階できちんと決めておくことをすすめています。

衣類は「思ったより場所をとる」という現実

「洋服はそんなに多くないです」とおっしゃる方でも、実際に収納に詰め込んでみると入りきらない、というケースは珍しくありません。衣類は想像以上に体積があります。

衣類は「思ったより場所をとる」という現実

特に山梨は四季のはっきりした土地で、冬物のコートやダウンジャケット、夏の薄手のもの、その中間の春秋ものまで、季節ごとに服がガラッと入れ替わります。全シーズン分を収納しようとすると、3〜4人家族ではウォークインクローゼット1〜2畳では足りなくなることも出てきます。

「衣替えをどうするか」という話も含めて、収納の容量と棚の設計は早めに相談してほしいところです。

洗面所まわり──下着とパジャマの「置き場所」が盲点

これは多くの方が入居後に気づくことです。

お風呂から上がったあと、着替えはどこでしますか?脱衣所ですよね。でも下着やパジャマは寝室のクローゼットにしまってある、という間取りだと、濡れた体のままわざわざ取りに行くか、前もって持ってきておくかのどちらかになります。毎日のことだから、これが想像以上にストレスになる。

洗面所まわり──下着とパジャマの「置き場所」が盲点

洗面・脱衣所のそばに、家族分の下着・パジャマ・タオルをしまえる小さな収納をひとつ設けておくだけで、毎日の暮らしが全然違います。「脱衣所に棚ひとつ追加してください」で解決できることなのに、後から壁を壊して追加するのはコストがかかります。

設計段階で「お風呂まわりの動線」を具体的にシミュレーションしてみることをすすめています。

日用品ストック──「消耗品の量」を舐めてた話

これも盲点になりやすいです。トイレットペーパー、ティッシュボックス、洗剤、シャンプー、柔軟剤、洗濯洗剤……。日常的な消耗品のストックは、意外と体積があります。

日用品ストック──「消耗品の量」を舐めてた話

まとめ買いをする家庭では特に顕著で、「どこに置こうか」となって結局廊下に積んだり、脱衣所の床に並べたりというのはよく聞く話です。パントリーをつくる場合は、食品だけでなくこういった日用品のストックスペースとしても使えるよう、棚の奥行きや高さを決めておくといいです。

「トイレットペーパーひとパック分のスペース」を最初から確保しておく。小さなことですが、これだけで暮らしのストレスが減ります。

玄関まわり・シューズクローク──「扉一枚」で動線が変わる

玄関横にシューズクロークをつけた方の中で、「思ったより使わない」という声があります。理由のひとつが扉の向きと動線の問題です。

玄関から入ってシューズクロークに荷物を置き、扉を開けてリビングへ。この流れが自然に感じられる間取りになっているかどうかが重要で、少し動線が回り道になるだけで「面倒だからそのまま玄関に置いちゃえ」となりやすい。

玄関まわり・シューズクローク──「扉一枚」で動線が変わる

玄関に扉なしのオープンタイプにするか、ウォークスルーにするか、あるいはあえてシンプルな下足入れだけにするか。家族の生活スタイルに合った選択が大事です。「なんとなくシューズクロークをつけておけば使うだろう」という設計にしてしまうと、後悔につながることがあります。

あとは反対に「ものが溢れてただの物置になってしまった」という声もありました。
自転車やお稽古道具、カバンや上着などなんでもシューズクロークにおいてしまった結果です。この辺りも考慮しておきたいポイントですね。

山梨で家を建てるなら、これも収納に入れて考えてほしい

山梨で暮らしていると、どうしても収納に影響する「ならでは」のものがあります。その代表格が、スタッドレスタイヤです。

スタッドレスタイヤの収納場所──盲点になりやすい「大物」

山梨は山間部も多く、市街地でも冬になるとそれなりに雪が積もります。南アルプス市でも年に何度かは路面が凍結しますし、甲府盆地より標高の高いエリアに出かけることも多い。だからスタッドレスタイヤへの履き替えは、多くの家庭で当たり前のことです。

問題は、使わないタイヤを「どこに確保するか」ということです。
山梨は車社会ですから、ほとんどのご家庭でご主人の車、奥様の車と最低2台は持っています。この2台分のタイヤ8本をどうするか?

スタッドレスタイヤの収納場所──盲点になりやすい「大物」

15〜16インチのタイヤ1本でも、直径60〜65cm・幅20cm程度の体積があります。4本積み重ねると相当な場所をとります。マンションからの引越しではこれを見落としやすく、「ガレージがないからタイヤを置く場所がない」「玄関の外に積んでいてみっともない」という声を入居後によく聞きます。

新築で家を建てるなら、ガレージや倉庫スペース、あるいは外構のタイヤ収納ラックまで含めて計画に入れておくことをすすめています。タイヤ8本分のスペースは、最初から頭に入れておかないと後で困ります。

季節の荷物とストック──「もらいもの」は突然やってくる

農家や果樹園が多い山梨では、知人や親戚から桃・ぶどう・さくらんぼをもらうことがあります。頻繁にあるわけではないけれど、シーズンになるとまとめてドーンと届く。ジャムや果実酒を自分でつくる家庭では、瓶や器具もそれなりに出てきます。

収納は多けりゃいいってもんじゃない。新築で本当に後悔する収納の話をします | 建築日和

それほど大げさに考えなくていいとは思いますが、パントリーを計画するなら「ちょっと多めの食品ストックが入るくらい」の余裕を見ておくと、いざというときに慌てません。棚の奥行きは30〜35cmで十分なことが多いですが、高さ方向の段数はなるべく細かく調節できる可動棚にしておくのがおすすめです。

コストコが近い南アルプス市──冷凍庫の置き場所を確保しておく

南アルプス市では、車で10分ほどの場所にコストコがあります。週末にまとめ買いをする家庭も多く、最近は冷蔵庫とは別に「冷凍庫を1台置く」というご家庭が一般化しつつあります。

冷凍庫は冷蔵庫より小ぶりとはいえ、幅60〜70cm・奥行き60cm前後の設置スペースと、専用コンセントが必要です。「どこかに置けるだろう」で済ませてしまうと、入居後に置き場がなくて困る、コンセントが足りない、という話になりやすい。

コストコが近い南アルプス市──冷凍庫の置き場所を確保しておく

キッチン横・パントリーの隅・洗面脱衣所の近く……どこに置くにしても、設計段階で「冷凍庫のスペース」を一つの家電として計画に入れておくことをすすめています。コンセントの話とも重なりますが、後から追加するのは意外と大変です。

後悔しない収納をつくるための「3つの問い」

収納計画の打ち合わせに入る前に、自分たちに問いかけてほしいことが3つあります。難しいことではないです。ただ、この3つをちゃんと考えてから打ち合わせに来てくれると、話がずっと具体的になります。

Q1. 今の家にある「物の量」を把握していますか?

「なんとなくこれくらい」で進めると、入居後に「入りきらない」が必ず出てきます。衣類・本・趣味の道具・日用品ストック・季節家電……カテゴリ別に書き出してみるだけで、必要な収納のイメージが全然変わります。

Q2. 「使う場所」の近くに収納はありますか?

洗面所で使うものは洗面所の近くに。キッチンで使うものはキッチンの近くに。これだけのことですが、動線を意識せずに「なんとなく収納っぽいところ」に詰め込んでしまうと、日々の生活が少しずつ面倒になっていきます。

Q3. 収納の「中の設計」まで決めましたか?

広さだけ決めて終わりにしていませんか。棚の数・高さ・ハンガーパイプの位置・引き出しにするか棚にするかまで、入居前に決めておくことで「入れ物だけあって使えない」という状態を防げます。

棟梁チェックリスト──間取りを決める前に確認しておくこと

設計の打ち合わせに入る前、間取りを固める前に、このリストを確認してみてください。「そこまで考えてなかった」というものがあれば、それが後悔ポイントになりやすい箇所です。

玄関まわりの収納チェック
  • ☑️
    家族全員分の靴(全シーズン)が入る量を確認したか 大人の靴は一足分で意外と幅をとる。来客用スペースも考慮する
  • ☑️
    スタッドレスタイヤの収納場所を計画に入れているか 4本分。ガレージ・倉庫・外構ラックのどこかに必ず確保する
  • ☑️
    ベビーカー・自転車・アウトドア道具の出し入れ場所があるか 子育て世代は特に玄関まわりが混みやすい
  • ☑️
    シューズクロークの動線が「自然な通り道」になっているか 回り道になると使わなくなる。ウォークスルーが理想的
キッチン・パントリーの収納チェック
  • ☑️
    日用品ストック(洗剤・トイレットペーパー・ティッシュ等)の置き場があるか まとめ買いをする家庭は特に。床置きになりやすい筆頭
  • ☑️
    パントリーの棚は可動式になっているか 固定棚にすると後から変えられない。高さ調節できる棚がベスト
  • ☑️
    冷蔵庫・炊飯器・電子レンジ以外の家電の置き場があるか ホットプレート・ミキサー・コーヒーメーカー等は意外とスペースをとる
  • ☑️
    冷凍庫(セカンド冷凍庫)の設置スペースと専用コンセントを確保しているか コストコ等でまとめ買いする家庭は特に。幅60〜70cm・奥行き60cm前後が目安
洗面・脱衣所の収納チェック
  • ☑️
    家族分の下着・パジャマ・タオルをしまえる場所が脱衣所にあるか 風呂上がりに取りに行く動線は毎日のストレスになる
  • ☑️
    洗濯機まわりに洗剤・柔軟剤の置き場があるか 洗濯機の上の空間を棚として活用するのも有効
  • ☑️
    洗面台まわりに家族全員のドライヤー・スキンケア用品が置けるか 家族が増えると鏡裏収納だけでは足りなくなりやすい
寝室・クローゼットの収納チェック
  • ☑️
    衣類を全シーズン分収めたとき、余裕があるか試算したか コート・ダウン・スーツ類は厚みがある。家族4人分は相当な量
  • ☑️
    ウォークインクローゼットに棚・パイプハンガーの設計が入っているか 広さだけ決めて「中は後で」はNG。荷物を積み上げるだけになる
  • ☑️
    布団・毛布の収納場所があるか(奥行きは60cm以上必要) 布団を圧縮袋に入れると奥行きが小さくなるが、毛布類は難しい
リビング・その他の収納チェック
  • ☑️
    子どものおもちゃ・学用品の専用収納があるか 子育て世代はリビングへの「おもちゃのあふれ」が一番多い悩み
  • ☑️
    掃除機・コードレス充電器の置き場が動線上にあるか 充電しながら収納できる場所が理想。コンセントとセットで計画する
  • ☑️
    収納スペースに照明・コンセントがあるか 大きな収納には照明を入れておかないと暗くて使いにくい

収納は、暮らしの「通知表」です

入居して半年くらいたったころの家の中を見ると、その家の収納計画が正しかったかどうかが正直にわかります。物が適切な場所に収まっている家は、暮らし方そのものが整っている。反対に、収納計画が甘かった家は、どこかに荷物があふれていて、家族が少しずつストレスを感じていることが多い。

収納は、暮らしの「通知表」だと思っています

収納で後悔した方が口を揃えておっしゃるのは「もっとちゃんと考えればよかった」ということです。でもそれは「量を増やせばよかった」ではなく、「どこに、何を、どうしまうか」という使い勝手の設計をもう少し丁寧にしておけばよかった、という意味です。

量の話は「延床面積の10〜15%が目安」などと言いますが、そんな数字よりも、今の暮らしで「何が、どこで、どれくらい邪魔をしているか」を具体的に書き出してから打ち合わせに来てもらう方が、ずっと現実的な収納計画をつくれます。

収納は、暮らしの「通知表」だと思っています

コンセントの話と同じで、「なんとなく多めにしておこう」という感覚が一番後悔につながりやすい。それよりも「この場所に、これを入れる」という具体的なイメージを持って設計する方が、結果的に使いやすい家になります。

収納のことで迷っていたり、「うちの場合どうすればいいか」と思ったら、ぜひ気軽に相談してください。現場を見ながら一緒に考えます。

📖 後悔テーマシリーズ 第1弾

「コンセントの配置」で後悔した話──新築で一番多い後悔、現場の棟梁が解説します

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